歯の移植
歯の移植(自家歯牙移植)について
自家歯牙移植、矯正的歯牙誘導
当院では、ドナーとなる歯や親知らずがある場合は抜歯やインプラントの前に歯牙移植、矯正的歯牙誘導を検討いたします。
自家歯牙移植は歴史のある選択肢です
1950~60年代より、齲蝕(うしょく/虫歯のこと)におかされた第一大臼歯の抜歯窩に根未完成歯の智歯を移植したり、外傷により脱臼した歯牙の再植、意図的再植(難治性の根の病気を持つ歯を一度抜歯し根に処置を施し再度同じ場所に埋め戻す)などがされはじめました。
当時は、科学的な背景はなく試行錯誤の歴史でしたが、1970年以降 組織学的、病理学的、生物学的な研究によって、 自家歯牙移植の生物学的原則および移植によって治るという科学的・理論的根拠が確立されました。
歯牙移植、矯正的歯牙誘導のメリット
天然歯は歯根膜からの豊富な血液循環や細菌に対する天然の防御機能を働かせることが可能なので、口内の環境によって柔軟に形や位置を変えながら生体の変化に追随します。
また、歯根膜は感覚圧受容器でもあります。食べ物の歯触りの感じ方が大きく違います。
感覚に個人差はありますが、繊細な食感や、歯触りを天然歯では楽しむことが可能です。
圧感覚閾値(感覚を感じる最小の力)は、ご自分の天然歯の場合、前歯で1~3g前後、臼歯で4~10g前後であり、同じく噛み合わせも天然歯同士の咬合では25μm(マイクロメートル)の厚みを感知できるます。
生存率(どれくらいもつか?) | |
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5年生存率 |
インプラント95% (Fugazzottoet al,2004) 自家歯牙移植90% (Tsukiboshi M,2002) |
10年生存率 |
インプラント90%前後 自家歯牙移植80%前後 |
自家歯牙移植、矯正的歯牙誘導の
トリートメントエッセンス
移植において最も大切なことは歯根膜を温存するということです。歯根膜の温存には2つのポイントがあります。
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口腔外科認定医による歯根膜の
温存を考慮した低侵襲な抜歯移植を行うときの最初の関門はドナーとなる歯をいかにいい状態でとってこれるかということです。
当院では口腔外科の認定を受けた経験豊富な医師が担当しますので安心して手術を受けることが出来ます。 -
成功率に寄与する時間と適合
ドナーとなる歯は抜歯してからレシピエントサイトに移植するまでの時間が短ければ短いほど成功率が上がります。
よくある失敗として、抜歯してきたはいいけど、レシピエントとの適合がよくなく何度も抜歯窩を調整してタイムリミットを過ぎてしまう、もしくは理想的な位置に移植歯を固定できないということがあります。
当院ではCTにより精密な計測を行い、必要に応じて矯正にてレシピエントサイトの調整やCTデータをもとに歯牙レプリカを作製しております。
歯牙レプリカを使用することでドナーを何度も試適する必要がないので、ドナーの歯根膜を物理的にも、時間的にも傷つけずに済みますし、適切な形成ができるため、侵襲が少ないことはもちろん、抜歯窩の中の歯根膜様組織の侵襲も抑えられるため適合よく移植が行えるので治癒期間も短く出来ます。
自家歯牙移植の流れ
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初回
・ 問診とカウンセリング
・ 口腔内診査、歯周組織精密検査、歯科用デンタルまたはパノラマレントゲン撮影、歯科用CT撮影
・ 簡単な噛み合わせの診査
・ 顔貌および口腔内写真撮影
・ ブラッシング指導・歯石除去・歯面清掃 -
2回目(自家歯牙移植手術)
手術時間:通常60~90分以内で終了します。
※鎮静麻酔の併用も行なっていますので、ご希望の方はご気軽にご相談ください。 -
3~8回目(消毒と抜糸)
手術より約2週間後、移植歯の感染根管治療(回数はあくまで目安)を行います。
手術からおおよそ1~2ヵ月、噛み合わせを与えます。(但し状況に応じて期間は前後します。)
手術から2~3ヵ月、問題なければ最終的な詰め物、被せ物をお入れします。 -
術後3~6ヵ月(再評価)
術部の治癒の状態を検査し、メインテナンスを含めた今後の対応を検討致します。
術後の注意事項
術後1~3日 |
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術後1~2週 |
術後2週までは術部のブラッシングを控えて頂きます。 担当衛生士によりその間の口腔ケアの指導をさせていただきます。 |
術後2~4週 | 縫い合わせた歯肉が完全閉鎖するまで、術後2~4週の間は週に1度(可能ならばもう少し短期的に)のペースで術部の確認、歯肉縁上プラークのコントロール、プロフェッショナルクリングを行います。 |
術後1~6ヵ月 | 問題が無ければ月に一度のペースでチェックと清掃に来院して頂きます。 |
術後1~3日 |
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術後1~2週 |
術後2週までは術部のブラッシングを控えて頂きます。 担当衛生士によりその間の口腔ケアの指導をさせていただきます。 |
術後2~4週 | 縫い合わせた歯肉が完全閉鎖するまで、 術後2~4週の間は週に1度(可能ならばもう少し短期的に)のペースで術部の確認、歯肉縁上プラークのコントロール、プロフェッショナルクリングを行います。 |
術後1~6ヵ月 | 問題が無ければ月に一度のペースでチェックと清掃に来院して頂きます。 |